Q1.印刷工場での1日の仕事の流れをおしえてください。
A1.
朝日プリンテック(AP)では、全国に工場がありますので、東京築地にある工場での流れを例に挙げます。
毎朝、朝日新聞本社より朝日新聞を印刷するための、情報が送られてきます。つまり注文が入るということです。
内容は、朝日新聞販売店ごとの部数、当日の新聞の頁数、カラー原稿が何面に掲載されるかなどです。
工場では、毎朝、その日使用する大部分の新聞用紙が納品されます。午前10時に工場の倉庫へ搬入が始まり、同時に倉庫では、夕刊に使用する新聞用紙の準備が開始されます。
印刷部門では、印刷機、梱包機を夕刊用に準備します。
管理部門では、送られてきた注文表から、夕刊印刷部数の指示、紙面内容の登録を開始します。その後、朝刊紙面内容の登録も行います。
午前11時30分頃から午後3時頃まで夕刊の印刷を行い、各新聞販売店に発送します。
夕刊印刷が終わった後、印刷機や発送機などの機械整備を行ったり、別刷や他の新聞しんぶんを印刷します。
午後5時頃から、確定した注文を基に、今度は、朝刊を発行する準備を行います。
午後7時には、印刷機、梱包機の準備、午後9時には製品を運ぶためのトラックが工場に集まります。
午後9時過ぎから午前3時頃まで地域別に製品を切り替えて印刷を行います。
工場が届ける一番遠い地域の販売店の分から先に印刷を開始しますので、どの地域の新聞販売店にも午前3時過ぎには製品が到着します。
製品の印刷が終った後、印刷機に付いたインキなどを洗浄し、午前4時頃、1日の作業が終了します。
Q2.印刷では人はどんな仕事をするのでしょうか?
A2.
印刷機はカラー印刷機が2台、モノクロ印刷機が3台、切って折りたたむ機械(折機)が1台の合計6台で構成されています。
全長が24m、高さが11m、3階立てビルと同じくらいの大きな印刷機を3人で操作し、印刷します。
準備では、印刷機に新聞用紙を通し、注文通りの頁数と紙面内容で印刷できるように準備します。
印刷担当者は「正確に、速く、綺麗に」を目標に、インキの濃さや製品体裁を整えるなどの操作と、製品が汚れていないか、調整した濃さで印刷できているかを検品しながら印刷します。
検品は、機械でも行っていますので、2重のチェックとなります。印刷終了後は機械の掃除を行い、常に綺麗な製品が発行できるよう準備しておきます。
印刷機の操作は殆んどが自動化されていますが、人による操作がなくせないのも現実です。
Q3.機械が壊れてしまった時は、どうするのですか?
A3.
家庭でも家電と呼ばれる洗濯機やテレビ等の機械が故障することがありますね。
そんなときは、電器屋さんに頼んで修理してもらうのが一般的でしょうか。
大きな印刷機も、家電と同じで機械ですから故障するときもあります。
家電と違う所は、工場には必ず、機械の仕組みをよく知っている技術部門があり、壊れた部品を、予め準備してある新しい部品と交換したり、調整で直る故障は、自分たちで修理するところです。
これに当てはまらない大きな故障や調整に関しては、メーカーの人に来てもらい修理してもらいます。
Q4.印刷にミスがあった時はどうしますか?
A4.
ミスに気づいたら、すぐに印刷機を止めます。ミスがあった頁を修正し正しい紙面を印刷し直します。
ミスのあった製品は回収します。工場の中にある場合は、全て回収し破棄します。
工場からトラックで発送されてしまった製品に関しては、トラックが販売店に到着していない場合は呼び戻して回収し、販売店に着いてしまっている時は、販売店で取り置いてもらい、新しく製品を届け、差し替えてもらいます。
判断が遅れれば、それだけ皆さんの手元に届く時間が遅くなりますので、工場ではミスが出ないように努力していますが、ミスが出てしまった場合を考えて、出来るだけミスを早く発見するように努めています。
Q5.印刷が仕上がった時の気持ちは?
A5.
印刷機は、朝刊、夕刊ともに1分間に最高1,500部を印刷します。
綺麗に印刷できているか…何か間違いはないか…機械に異常はないか…作業に当たる人は緊張しています。
計画時間通りに刷って、印刷機の停止ボタンを押したときは、みんなホッとします。うれしい開放感を味わっています。
自分の刷った新聞が、読者に届きます。ニュースを提供する役目を果たし、充実感で一杯になります。
Q6.工場の規模はどのくらいですか?
A6.
私たちの会社は、全国に10の工場があります。
神奈川県川崎市、東京都世田谷区と中央区、愛知県北名古屋市、大阪市北区、大阪府堺市、香川県丸亀市、福岡県北九州市と大宰府市の10工場(こうじょう)です。
川崎工場を具体的な例として説明します。
川崎工場は敷地面積15,524m²、建物延べ面積は18,857m²です。
また緑地は全体の約26%の4,102m²あります。
朝夕刊あわせて約100万部印刷しています。
工場で働いている人は朝日プリンテックの社員が93人、協力会社の社員を合わせると約150人います
輪転機は昼も夜も回っていますから、このうち輪転機を操作する人や技術部員は2交代制で働いています。
Q7.新聞はなぜ四角なのですか?丸い新聞はできないのですか?
A7.
丸い新聞ができたら面白いですね。
でも新聞はロール状の巻取紙を使い、猛スピードで印刷していきます。
丸い紙を使用すると印刷スピードが遅くなってしまいますし、紙もロール状につながりません。
四角い紙に丸く印刷することはできますが、これだと余白が多くなり紙がもったいないですね。また、読みにくい新聞になってしまいます。
印刷するにも、読むにも、新聞は四角形が一番なのです。
Q8.機械(輪転機)は何台あるのですか?値段はいくらですか?
A8.
輪転機の組み合わせは、2台のカラー印刷機と3台のモノクロ(白黒)印刷機の計5台の輪転機と、印刷した新聞を切って折りたたむ機械(折機)を1組として作られています。
私たちはこれをセットと呼んでいます。
築地工場には4セットが設置されていますので、それぞれカラー印刷機が8台とモノクロ印刷機12台の合計20台の印刷機と4台の折機があります。
1台の印刷機で8ページの新聞を印刷することができ、5台つないで40ページ印刷することができます。
また40ページの中に16頁のカラー紙面を印刷することができます。
印刷機の値段は時代によって変わってきましたが、1セットで約10億円単位の高価なものです。大事に長く使わなくてはなりません。
印刷機は15年から20年使います。
Q9.休憩時間は何をしているのですか?
A9.
工場では、注文された部数を割り振り配達するトラックを決める仕事や、版を作る仕事、印刷する仕事など、いろいろな職場に分かれて仕事をしています。
休憩時間も仕事の違いによって少しずつズレているので、全員が一緒には休憩できません。
休憩時間のすごし方については人によってそれぞれ違います。
テレビを見てリラックスする人、新聞を読んでいる人、仕事にそなえて身体を休めている人、これからの仕事の進め方を考えている人などさまざまです。
Q10.何を考えながら仕事をしていますか?
A10.
新聞の役目はいろいろなニュースをわかりやすく、みなさんに伝えることです。
工場ではみなさんのお宅へ何時に新聞を届ければよいかという計画を作り、決められた時間内に印刷して、皆さんに喜んでもらえるように綺麗な新聞を早く届ける事をいつも考えています。
印刷の仕事はたいへん大きな機械(印刷機)を運転しますので、3人でチームを組んで怪我やミスがないように注意しながら仕事をしています。
Q11.輪転機の時速は40キロということですが、もっと速くできますか?
A11.
印刷機の最高速度は時速にすると49.14km.で、このスピードだと、40頁の新聞を1秒間に約25部、1時間に9万部の印刷ができます。
最近の輪転機は印刷速度を速くできるよういろいろ工夫がされています。
なかでも振動や騒音を少なくするために輪転機どうしをつなぐシャフトをなくし、それぞれがモーターをもっていて印刷が開始されると同じスピードで回るシャフトレス方式がだんだん多くなってきました。
*時速49.14km(18万部/時)を新聞用紙の使う量から見てみましょう!
一晩に1セットあたり朝刊40頁の新聞を約15万部印刷しています。
使う紙の量は幅1626mm(新聞4頁幅の印刷用紙を30本使います。
長さにすると409.5kmにもなり日本一長い信濃川の360kmより50kmも長くなります。
重さは28.65tで体重284kgの元大関「小錦八十吉」さん100人分です。
面積は655,847m²で東京ドームの14個分、サッカー場109面分にもなります。
Q12.1日にインクをどのくらい使いますか?
A12.
新聞は4色のインキを使って新聞を印刷しています。
カラー紙面を印刷する時は、墨(黒)→シアン(青)→マゼンタ(赤)→イエロー(黄)の順番に4種類の色インキを重ねていきます。
4種類のインキの合計は1日平均して約2,500kg。200kgのドラム缶にすると13本分になり、1ヶ月では388本にもなります。
新聞インキの原料について、鉱物油の物から、環境にやさしい大豆油を中心としたインキに変更しました。
Q13.印刷の時、紙は破れないのですか?
A13.
印刷のときに紙が破れることはあります。
紙は水に濡れると破れやすく、乾いているときは破れにくい性質があります。
また、真っ直ぐに引っ張る力には強く、斜めに引っ張る力には弱いものです。
皆さんも試してみてください。
AP新聞印刷方式は水とインキで印刷するオフセット印刷のためインキ量の約2倍の水を使っています。
しかし、水を多く出しすぎると切れてしまうことがありますので印刷中は紙を引っ張る力と水量の調整には注意を払っています。
Q14.新聞用紙はすごく大きいですね。重さは?
大きな丸い用紙一本でどのくらい新聞ができるのですか?
また、なぜ種類の用紙を使うのですか?
A14.
新聞用紙のことを、巻取紙といいます。
3種類の巻取紙を使いますが、一番大きいものは、A巻と言って、重さが955kgもあります。
幅は1626mmで、新聞紙の幅4ページ分あります。
直径1.05m、長さは13.65kmあり、A巻1本で、20万頁印刷できます。
40頁の新聞なら、5,000部印刷できます。
それを1日に約120本使います。
新聞用紙は3種類あり、新聞2頁幅(D巻き)と3頁幅(C巻き)と4頁幅(A巻き)です。
新聞の頁数は朝刊と夕刊で違い、また日々(ひび)変わります。
2の倍数頁ならば何頁の新聞でも印刷できるよう、3種類の用紙を組み合わせて使うのです。
新聞用紙の60~100%は古新聞などを再生した古紙が含まれています。
みなさんの家庭で読み終わった新聞を回収して、また新しい新聞用紙に再生するのです。
Q15.新聞用紙を運ぶロボットはなぜ、正確に動けるのですか?
A15.
新聞用紙を運ぶロボットのことを、英語=AutomaticGuidedVehicle=の頭文字からAGV、と呼んでいます。
レールやガイド溝がなくても、正確に動けるのは不思議ですね。なぜでしょう。
たねあかしをすると、輪転機のまわりや、巻取紙を取り付ける場所などAGVが動くところの床下に道案内の役割をする細い導線が埋め込まれています。
行先を教えられると、AGVの下に取り付けられたアンテナが導線の位置を読み取って、真上を動きます。
こうして、レールやガイド溝がなくても正確に動けるのです。
省スペース向きのADSと呼ばれる小型のものもあります。
Q16.朝日新聞の発行部数、シェアはどのくらいですか?
A16.
新聞の発行部数は毎月、毎日変わります。
大よその部数で言いますと朝日新聞朝刊は全国で810万部、夕刊は400万部で、朝夕刊合わせると1,210万部という大きな数になります。
全国の一般紙の合計は約4,730万部なので、朝夕刊セットで1部とカウントした場合、朝日新聞のシェアは約17%になります。
Q17.なぜ夕刊に2、3、4版はあるのに、1版はないのですか
版ってなんですか?
A17.
日本の大きな新聞社が発行している新聞の上部には「3版」とか「12版」といった数字が印刷されています。
これが新聞の版を示す数字です。
新聞は工場から遠いところにも近いところにも運ばれていきます。
遠いところまで運ぶには時間がかかりますから、遠いところに運ぶ新聞は早く印刷しなければ、配達時間に間に合いません。
そこで印刷時間によって「版」を決めるのです。
朝日新聞東京本社発行の夕刊で言うと2版、3版、4版がありますが、2版は静岡県や北関東に配られます。
3版は東京近郊、4版は都心や横浜市内に配られます。
また夕刊2版と朝刊12版、3版と13版、4版と14版の配達される地域は同じです。
1版のことですが、朝日新聞には1982年3月までは1版がありました。
しかし、夕刊と朝刊が合体した新聞(=統合版▲マーク)が印刷されることになり夕刊1版は朝刊11版と合体し、統合版朝刊11版として配達されるようになったのです。
こうして夕刊1版はなくなり、2、3、4版が残っているのです。
Q18.1台のトラックに新聞を何部積めるのですか?
A18.
使用しているトラックの種類は4トン車と2トン車の2種類です。4トン車は工場から遠い地域に配達される新聞を運んでいきます。
配る範囲が広くなるので、朝日新聞だけではなく他の新聞も一緒に積んでいきます。
このトラックは最大で40頁の新聞を21,000部積むことができます。
2トン車は小さい車の特徴を生かしてすばやく、短い時間で近い地域を配達しています。
最大で40頁の新聞を10,500部積むことができますが手分けして短時間に配らなければいけないため、普通はここまで積みません。
私たちの会社では環境問題に積極的に取り組んでいます。
運送会社や運転手さんの協力を得てアイドリングストップやディーゼル車の排気ガス対策、低公害車の積極的な導入に力を入います。